最後のとき

事務所にいたら、看護から連絡が入る。
「Oさんの呼吸状態が悪く、危篤状態である」と。
急いでOさんに会いに行く。
酸素マスクをしているが、まるで丘につり上げられた魚みたいな息遣いだ。
手足はむくみ、もちろん意識はなし。
もう16時間近くおしっこが出ていない。
血圧も60台、不整脈でモニターがしきりに警告を鳴らしている。

急いでご家族にその旨を伝える。

だんだんモニターの波がゆらゆらとゆるくなり
時折フラットになる。
HRが60・・50・・30・・と落ちて行く・・

そこへご家族到着。
「お母さん!」
と60代の息子が泣きながらすがると
モニターの波形が急に動き出した。
・・ピッ・ピッ・ピッ・・
すごい!人間、最後まで聞こえているし見えているし
すべて分かっているというけれど、本当なんだ。

越子はモニターの波形をひたすら眺めていた。
とても見ていられなかったから・・
そして、再び30・・20・・心停止・・

主治医がやってきて、死亡診断を下す。

しかし、悲しいかな。
越子はこれからが忙しい。
まずは、各福祉用具レンタルの業者に引き取りの連絡。
市役所に書類の手続きやら、なんやらかんやら・・

そして、無情にも明日の準備と連絡である。
待機の方が明日入居するためだ。

ここは仕方ない。ドライにいくしかない。

死化粧を施したOさんが霊安室に降りてきた。
ろう人形のようである。

Oさんが乗った葬儀屋さんの車を見送るために
職員一同、礼をする。
この瞬間、本当にたまらない。
泣きそうになってしまう。

でも誰でもいつかは迎えるのだなあ。
もちろん、この私も。

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