先天性脳性まひの「kenちゃん」を受け持っている。
69歳の男子。

手足は小さくて麻痺していて、まったく動かない。
話すことはできるけれど、聞き取りずらい。
生まれてこのかた、ずっと自宅で暮らしてきたという。
生活のすべてに介助が必要だ。

越子はkenちゃんに会った瞬間に、すっかりファンになってしまった。
幸せの塊みたいなオーラがある。
笑顔がなんともいい。
不自由なしゃべりかただけど、一生懸命に伝えようとする。
こちらが理解できないでいると、何度も何度も言ってくれる。
やっと理解できて「○○ってこと?」と聞き返すと
「う。」といって返事してくれる。

kenちゃんの両親はとっくに亡くなっていて
代わりに実兄夫婦に介護されていた。
実兄たちも年をとり、今度は実兄の長男夫婦が介護している。

キーパーソンとして窓口になっているのが
義理姪のK子さん。
第一印象は、キツクて細かい方かと思っていたけど
ぶっきらぼうではあるものの、本当に心根の優しい人。
義理の叔父の面倒なんて普通はそうはできないもの。
だけど、彼女はまるで自分の子供のように
きめ細やかに看ている。

二人のやり取りを見ていると、本当に楽しくなってくる。
「デイサービスで映画を見たってぇ?
な~んて贅沢な!私だって見てないってのに~」
「面白かった」
「ずる~い、kenちゃん。」
とか
「携帯電話がほしい」
「ダメ!だめ、ダメ!相手の人に迷惑でしょ?絶対にダメだよ」
とか
「今度、ヘルパーさんと買い物に行くからお金が欲しい」
「何を買うものがあるわけ?いつも私たちが買ってくるのに。」
「ヨーグルトとか、お菓子」
「無駄遣いはダメ。一日¥500にするからね」
など。ほんの一部抜粋。

k子さんに何を言われてもニコニコしているし
k子さんも意地悪で言っているのでもない。
愛情をひしひしと感じる。

kenちゃんは、生きている証を一生懸命につづっている。
出会った人に必ずノートにサインをしてもらっている。
先日はなんと理事長先生からもサインを頂いていた。

川柳が好きで、自分でも詠むのだとか。
ヘルパーさんや仲間たちに書きとめてもらっている。

手紙も好きで、代筆をしてもらっては出している。
袋の中には、もらった手紙がたくさん入っていた。

kenちゃんは、人々を癒し惹き付ける魅力がある。
そして、いじけたり嫉妬したりしない。

自分のことをよく分かっているから
体のコントロールもうまくやっている。
kenちゃんはストマー(人工肛門)である。
普通なら拒否したり、否認・回避・怒りなどの
過程を経て、やっと受け入れられるのだけど
彼はすんなりと受け入れたとのこと。

生きるということ、その意味。
皆と一緒に生きていくルールや心構え。

kenちゃんから教えてもらっている気がする。
彼といると、心がホンワカしてくる。


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2011.07.05 / Top↑
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